(有)Y&M企画工房 ちょこっと講座 "地震対策について"

日本は地震大国と呼ばれる程、地震が多く発生する国であり、
最近では、
南海トラフ地震警戒注意報が発令される原因となった宮崎県の地震や
石川県の地震、熊本県の地震など

発生する地震の強さについても世界から比べると比較的強い地震が多いと言われています。
その為に日本で家を建てる際は「地震対策」について考える事は必須と言えるものとなります。

国の地震調査委員会という組織では今後30年以内に
震度6弱以上の激しい揺れに襲われる確率を示した予測地図を公開
しています。

是非、「地震調査委員会」と調べてみて下さい。

それでは、実際に大地震が起きた時、建物はどうあるべきでしょうか?
安全性の指針・目標として以下の考え方があります。

①「人命を守る」
 建物の崩壊・倒壊を防ぐ。家具などの転倒を防ぐ、火災の発生を防ぐetc.

②「財産・資産を守る」
 個人・企業などが自ら保有する財産や資産を地震により損壊することを防ぐ

③「機能を守る」
建物固有の機能(生活・事業・社会的使命等)が停止することを防ぐ

上記の安全性の指針・目標を達成するために、日々さまざまな耐震技術が研究・開発がされています。

それらの中で代表的な耐震技術として、
地震の揺れを耐える「耐震構造」
地震時の揺れを抑える「制震構造」
地震の揺れを伝えさせない「免震構造」

の3種類があります

今回はこの3種類の違いをお話したいと思います。

「制震構造」について
「制震構造」とは、建物内にダンパーなどのエネルギー収部材を使って地震の揺れ・振動を吸収する構造
建物の内部にダンパーや重りなどで構成された制震装置を設けて、地震による揺れを小さくします。


高層ビルやタワーマンションといった高い建物は、上階ほど揺れが大きくなる傾向がありますが、制震構造を採用することで、上階における揺れの増幅を緩和できます

制震は、免震とは異なり、建物と地盤が切り離されているわけではありません。
地盤の揺れは建物に直接伝わってしまいますが、ダンパーなどの制震装置が揺れを熱エネルギーに転換して、空気中に放出してくれます。
その結果、揺れが小さくなり、建物を倒壊しにくくします


制震構造のメリット

建設コストが安く揺れに強い
制震のメリットは、建設コストが免震と比べると安いことです。
また、耐震よりも地震による被害を抑えることができます。
繰り返しの揺れにも強いため、余震による建物の被害も受けにくくできます。


メンテナンスが容易
メンテナンスが比較的簡単なことも、制震のメリットのひとつです。
地震が起きたあとも、ダンパーの取り替えやメンテナンスは必要ありません。

ただ、ダンパーの種類によっては、装置の定期的な点検が必要です。
例えば、オイルダンパーの場合はオイル漏れが起きていないかゴムダンパーの場合は気温の変化による劣化が起きていないかなどの点検です。
他にも、鋼材ダンパーがありますが、こちらは定期的なメンテナンスは不要です。


台風などによる揺れにも強い
免震は、地震による揺れには発揮しますが、台風など強風による揺れにはあまり効果がありません制震はさまざまな揺れに効果を発揮します。
さまざまな揺れに対応したい場合は、制震を選ぶとよいでしょう。


制震構造のデメリット

装置の設置場所や数が効果に影響する
戸建ての場合、あとから制震装置を設置する場合もあるでしょう。
このとき、制震の装置を設置する場所や数によっては効果に影響が出ます

制震の装置には効果を発揮できる位置があるため、建物の構造上、適切な位置への設置が難しい場合は効果が出にくいことが考えられます。


地盤の影響を受けやすい
制震は、地盤の影響を受けやすい特徴があります。
そのため地盤が軟弱な土地に建てられたマンションの場合、制震構造が備わっていても、十分な制震効果が得られない可能性があります

また制震は地震の揺れを吸収する仕組みですが、地表面に近い1階は地表面と同じくらい揺れが伝わります

「免震構造」について
「免震構造」とは、地震の揺れが建物へ直に伝わりにくくする為、建物と地盤を切り離した構造
もちろん建物が宙に浮いているわけではありませんが、建物と基礎の間に特殊な免震装置を設けることで、地震の力を受け流して建物の揺れを少なくします

免震の大きな特徴は、耐震や制震と比較して、大きな地震が発生しても建物は揺れにくいことです。
揺れを吸収するダンパーや、ベアリング、積層ゴムなどによって構成される
「免震装置」を建物の下に設置する事で免震装置が地震の揺れを吸収してくれる為、
建物を倒壊しにくくする仕組み
となります。


免震構造のメリット

地震による揺れが小さい
耐震や制震と比較して地震による揺れが小さいことは、免震の最大のメリットです。
前述のとおり、建物と地盤が切り離されているため、
地震が発生しても建物が大きく揺れることはありません。

免震は、地震に対する最も優れた構造といえるでしょう。


家具が倒れにくい
地震が発生すると、家具の転倒などにより怪我をする可能性もあります。
免震の場合は、建物の揺れを小さくできるため、家具の転倒や移動、物の落下なども起こりにくくなります。


建物内部が損傷を防止できる
建物内部が損傷しにくいことも免震のメリットです。
地震が発生すると、壁の内部や部材の接合部などが損傷してしまうケースもあります。
免震の建物であれば、通常は目に見えない部分も損傷しにくくなるため、大切な資産をしっかりと守れるでしょう。

免震構造のデメリット

横揺れの地震以外には効果を発揮しにくい
免震は横揺れの地震には大きな効果を発揮しますが、縦揺れの地震には効果を発揮しません。
また台風などの強風には効果が少ないと言われています。


コストが高い
免震は耐震や制震に比べ、コストが高く、施工会社も限られています。
また定期的な点検と、メンテナンスや交換が必要となり、ランニングコストもかかります。


歴史が浅い
耐震や制震に比べて、免震の歴史はまだ浅い工法です。
免震装置に使用されているゴムの耐用年数は60〜80年といわれていますが、免震の建物がそれほど古くなっていないため、完全に実証されているわけではありません。

「耐震構造」について
「耐震構造」とは、建物を強くする構造
筋交いや面材、部材の接合部を金具で補強したりする事で、
建物の地震に耐える強度を高める構造です

耐震は、最も一般的な構造であり、一戸建て住宅やマンション、オフィスビルや学校といったさまざまな建物で採用されています

又、
「建築基準法」という法律では、耐震基準が定められており
建物を建てるために必要な最低限度の耐震性能の基準です。
耐震基準に適合していない建物は、建築の許可が下りない仕組みになっています。
似た言葉で「耐震等級」という物もあります。

耐震等級とは
地震に対する建物の強度を示す指標
で、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)で定められており、建築基準法が定める最低限の耐震性能よりも高い強度の基準となっています。

今回は「地震対策・耐震技術」についてのお話でだいぶ長く付き合って頂いてますので
「耐震等級」については別の機会にお話出来ればと思います


耐震構造のメリット

建設コストが安い
免震や制震と比較して建設コストが安いことは、耐震の大きなメリットです。そもそも建築時は、建築基準法による耐震基準を満たす必要があるため、建物を建てる際に耐震の建物はできあがります。
ただし、建築基準法で定められているのは最低限の基準であるため、より地震に強い建物を建てたい場合は、コストをかけて補強することも検討しましょう。


工期が短い
工期が短いことも耐震のメリットのひとつです。
耐震は、最も多く採用されている構造であり、免震や制震ほどの特殊な工事は必要ないため、工期がそれほど長くかかりません。


自由に設計しやすい
設計上の制約が少ないことも耐震のメリットといえるでしょう。
免震を採用すると地下室が設けられなかったり、装置を設置するスペースが必要になったりしますが、耐震においては大きな制約はありません。
ただし、補強のための筋かいや耐震壁などによって、開口の位置や大きさが制限されるケースもあるため、事前によく検討することが大切です。

耐震構造のデメリット

上の階ほど揺れが大きくなる
耐震の場合、地盤の揺れが直接的に建物に伝わってしまうため、大きな揺れを感じるケースも多いでしょう。
とくに高層のマンションは上の階ほど揺れが大きくなってしまいます。


家具の転倒などによる事故が起こりやすい
家具の転倒や物の落下といった二次被害が起こりやすいことも、耐震のデメリットのひとつです。
建物の損傷がない場合でも、家具が倒れて怪我をする可能性もあるため、家具を壁に固定しておくなど、できる限りの対策をしておきましょう。


繰り返しの揺れに弱い
建物は頑丈ではあるものの、何度も地震力を受けることで部材の損傷が大きくなり、最悪の場合、倒壊してしまう可能性もあります。
揺れが頻発したときや、大きな地震が発生した後は、適切な点検とメンテナンスを行いましょう。


以上が耐震技術の説明となります。

今回は、地震に対応するための構造である、耐震、免震、制震の特徴や違いを紹介しました。

また、これらの工法は組み合わせて使われることもあります。
耐震+免震構造や耐震+制震構造などです。
ですが、どの構造で建てられた住宅であっても、
完全に地震による被害をなくせるわけではありません。

家具が転倒しないよう壁に固定しておくなど、自分でできる地震対策をして頂くことも大切です。

地域や建てたい家、リフォーム、増築、予算など様々な要因もあると思いますが、
それぞれの構造にメリットデメリットがあり、
ここまで読んで頂いた方々でも
「ご自身の要望を叶える為には、どの地震対策がその建物にあっているのか?」など
分からない事はまだまだ多くあると思います。
その疑問を解決する為に私たちがいますので、気兼ねなくご相談ください

今回のお話で大切なものを守る為の技術を知っていただけたと思います。
今後の家づくり等にお役立ち頂けましたら幸いです。
今回はとても長くなってしまいましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました

以上

ちょこっと講座 "地震対策について"
でした

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